インプラント治療の長期安定性について考える①
お陰様で開業105周年 札幌駅前 赤れんがテラス6階 谷口歯科診療所 谷口昭博と申します。
好きな物を好きな様に食べられないという事は、最悪お体や精神にまで影響します。
私たち歯科という仕事は、これだけ重要なのに子供達のなりたい職業ベスト100の圏外という大変にショッキングな状況です。
何とかせねばと考えております。
現在、私は日本顎咬合学会という日本でも一番大きな歯科学会で北海道支部支部長を拝命しており、北海道支部の目標の一つとして子供達に憧れられる職業を歯科医師、歯科衛生士、歯科技工士の三位一体で取り組む事としております。
今回のテーマは、インプラント治療において恐らく一番多いご質問でもあります。
「インプラントって、どのくらい(期間)保つの?」
歯、入れ歯、インプラント、ブリッジなどの咬むための道具は、毎日使う物ですよね?
使わない日はありません。
例えば車って、営業車の様に毎日使う場合もあれば、自家用車の様に毎日使わない場合もあります。カバン、洗面器、定規、ハサミなど色々な道具は、常に使用する事はなく、必要な時だけの事が多いですよね。
しかし、お手入れが難しい歯ほど毎日使う道具でこれだけ重要な物は他にありますでしょうか?
人類が色々な技術を発明して宇宙に民間人が行くことが出来る時代となりました。これだけのテクノロジーがありながら得体の知れないウィルスによる感染症により全世界がパニックとなりました。そして、歯を失った場合の治療法として歯を再生して再び自分の歯が生えてくる技術はまだまだ先の話なのです。技術的には、試験管の中で「歯」を再生する事は出来る様です。しかし、再生した自分の幹細胞から再生された「歯」をお口の中の欠損している場所に入れる技術が無いという事、歯の中に入っている神経や血管を繋ぐ技術が無いという事、そしてクール宅急便でデリバリーされる「歯」が1本数百万円掛かる事を考えるとシステム化が出来ないのです。インプラントという商品は、メーカー各社がシステムとして販売しています。
システムとは、多くの物事や一連の働きを秩序立てた全体的なまとまり。体系。もっと狭くは、組織や制度。などを指します。
インプラントは、マニュアル通りに手術を行うと、誰が行っても同じ結果が得られるハズなのです。しかし、「インプラントって、どのくらい(期間)保つの?」というご質問が無くならないのは何故でしょうか?今回のブログでは、システム通りに行っても同じ結果が出せない疑問について紐解き、ご理解を頂ける様な内容です。
谷口歯科診療所では、この疑問を深掘りする事でインプラントをどの様に活用する事が長期安定を得られ易いという事をご説明させて頂いております。
1、何故?インプラントが必要になったのでしょうか?
健康な歯周組織と健全な天然歯が全て存在する方には、インプラントは全く必要がありません。
インプラントが必要な状況って、事故は別として「歯周組織」、「歯」が不健康な状況となり、歯を抜かなくてはいけない状況である場合と言えます。
全世界のテクノロジーでもお口に存在する健全な天然歯と同じ物が作れないのが実状です。
体の臓器の一つであり、大変に高性能なのです。食感、歯ざわりなどの感触は、インプラントには殆ど存在しません。骨に伝わる振動で微かには伝わりますが、天然歯には及びません。
虫歯になると痛みというアラームが鳴り、グラグラ動く事で何かが起こっている事をご本人に知らせます。
そんな神様から与えられた高性能センサー付きの咬むための道具が存在する事が出来なくなった環境って、相当危険な場所です。
あらゆる見地から現在の状況に対して考察する事が一番大切であると考えます。仮に何も調べないで、同部位に対してインプラント治療を施した場合、どの様な結果を想定できるのか?のリスクを患者さんと共有する事で現状を意識をして頂いております。
2、歯磨き、定期検診の重要性について
治療が始まる前に考えて頂きたいのが、今までのお口に対する意識についてです。
歯磨きの見直しや定期検診の受診はいかがでしたでしょうか?例えば、スエーデンという国は18歳までの医療費は無料ですが、それ以降は費用が掛かります。よって、18歳までに予防への意識を徹底的に教育する事で健康に対して認識が高いのです。
しかし、日本の歯科事情において歯科に対して「痛くなったら行く所」、「痛くないから行かない」という考えがまだ根強い傾向がある様です。
歯を失うリスクから考えると、この様な考えでは、歯の健康にとって良くないですよね。
インプラントだから大切にする?のは、少し違います。
例えば、インプラント治療費用が1本40万円だとしたら、ご自身の歯に値段をつけるとしたら、40万円より安いですか?高いですか?恐らく高いのではないでしょうか?天然歯の価値を見直す事で大きく意識は変わるのではないでしょうか?例えインプラント治療が終わったとしても歯磨きや定期検診への関心が持つことは、長期的に保つインプラントの最も重要な秘訣と言えます。
JSOI日本口腔インプラント学会専門医
IPOI近未来オステオインプラント学会専門医、認定医
ICOI国際インプラント学会フェロー
日本顎咬合学会(咬み合わせ)指導医、認定医、北海道支部 支部長、北海道歯科医師会 学術委員
科学的根拠と各種専門医ライセンスを取得し、維持している立場から治療計画を立案させて頂いております。
次回もインプラント治療の長期安定性について書かせて頂きます。
谷口歯科診療所 院長 谷口昭博