インプラント治療の長期安定性について考える②
3、インプラントの長期的な安定を得られる為の診査診断とは?
前回のブログでも書きましたが、長期的な安定を求めるための要素として何故、歯を失ったのか?を調べる方法があります。
歯を失うと
・入れ歯
・ブリッジ
・インプラント
という選択肢が必要になってきます。
しかしながら、それは方法に過ぎないという事を考えなくてはいけません。咬む為の道具として何を選択するのか?は、何故、歯を失ったのか?を明確にした後に考える事で有り、最初に考える事ではないと考えております。
その為に必要なことは一体何でしょうか?
それは、精密な「咬み合わせの診査診断」を行う事で原因を明確にする事なのです。
ここを端折ると恐らく「失ってしまった歯」と同じ事が起きる事になると考えられますよね?
例えば、ご自宅のリビングの壁にヒビが生えたとします。
内装業者さんに修復を依頼した場合、二通りの提案があった場合はどちらを選択しますでしょうか?
1、取り敢えず、ヒビを修復して貰う。
2、ヒビの原因を調べた上で、再度ヒビが生えないように修復して貰う。
いかがでしょうか?
この考え方で、ご自身の失ってしまった歯について考えるといかがでしょうか?
壁は、生体ではなく無機質な物ですので、取り敢えず修復する場合もあるかもしれませんが。。。
お口の中は、かみ合わせの設定、咬む力、細菌感染、メンテナンスのしやすさなどあらゆる条件を満たしつつ、大変に過酷な状況での耐久性を考慮すると慎重に検討される事をお勧め致します。
4、インプラント経験が年間数千本の実績は安心安全材料になりますか?
この質問は、よく聞かれる質問です。
結論から言いますと、判りません。
何処の先生がどの様な考えでインプラント治療に携わっていて、長期的な安定を得ている症例数が存在しているのか?不明な点があります。
例えば、谷口歯科診療所であれば診査診断を行う時間、インプラント手術計画の立案、実際の手術、その後の冠の装着、メンテナンスへの移行の一連の流れからすると年間に数千本手術は考えられません。
仮にインプラント専門歯科診療所に正式なJSOI 日本口腔インプラント学会専門医(所属や素性がよく分からない専門医、海外の学会専門医、自称専門医は除く)が10人所属しているとします。
これだけで、人件費の点から維持出来ないと思いますが・・・。
その専門医10人がしっかりとした治療の流れで同時進行を行なったとしても、患者さんのお口の条件によっては経過が思わしくない状況となった場合への対応も増えますので、年間にインプラントを数千本を手術実績を出すには何か?を時短させさせないと実現は困難であります。
それでは、どの部分を時短させるのでしょうか?
例えば当診療所では、手術から治療終了までを時短させる事がケースによっては可能であります。それは、即時荷重という手術方法を採用しているからです。しかし、この方法は非常に困難な技術であり、初心者にはあまりにもハードルが高く、リスクが高いために例えインプラント学会の専門医であっても難しいと考えられます。
私(専門医)もこの技術を習得(現在も研鑽を積んでおりますが。。。)するまで4年弱掛かっておりますが、かなり特殊な技術であります。
それを10人の日本口腔インプラント学会専門医が習得しているとは考え難いですね。
それでいて、学会でもそういった講演や論文も聞きません、
最低でも北海道でもそんな論文や報告が公に明かされていませんから、謎は深まるばかり。
それでは、何処を時短させるのでしょうか?
谷口歯科診療所ホームページやYouTubeチャンネルでもお話しさせて頂いております。
・インプラント相談に午前に行ったら、そのまま午後に手術され、痛くてどうにかして欲しい患者さん。
・2週間前に5本のインプラント手術を受けたが、「すぐに抜いて欲しい!」と泣きながら仰る患者さん。
・「車一台分の費用を掛けたのに咬めない!」ご家族に付き添われて泣きながら訴える患者さん。
・抜歯即時を行なったが、インプラントが露出しているからどうにかして欲しい。
・早かったが、見た目の仕上がりが悪いのでどうにかして欲しい。
一部をご紹介しましたが、谷口歯科診療所として分析するとある共通点が見えてきております。
それは、圧倒的に初診からインプラント手術までの期間が早い事です。
最短で数時間です。ここを時短している可能性があります。
患者さんはインプラントを知らない?、インプラントはこんな物(何処の歯科診療所でも)?だと認識しているのか?
しかし、それはインプラントの長期的な安定をさせる要素が入った治療計画なのでしょうか?
担当した歯科医師?歯科衛生士?歯科助手?トリートメントコーディネーター?が言葉巧みに誘導したのか?
例えば、商業的な発想であれば、「インプラントという商品を売る」のかも知れませんが。
もはや医療では無い可能性がある事実をこのブログをお読みの貴方はどの様に感じますでしょうか?
私は、常日頃より言っております。
「自分がされたくない事を人に対して、してはいけません。」
「歯科治療は自分、あるいは親兄弟、大切な人に行う」と思ってご説明するのが、谷口歯科診療所 開業105周年に裏付けられた基本コンセプトです。
先程の担当した歯科医師?歯科衛生士?歯科助手?トリートメントコーディネーター?は、自分自身が望む内容なのでしょうか?
「自分は嫌だけど、知らない人には良い。」となったら、おしまいです・笑
JSOI日本口腔インプラント学会専門医
IPOI近未来オステオインプラント学会専門医、認定医
ICOI国際インプラント学会フェロー
日本顎咬合学会(咬み合わせ)本部理事・指導医、認定医、北海道支部支部長
北海道歯科医師会学術委員
北海道大学歯学院大学院生
科学的根拠と各種専門医ライセンスを取得し、維持している立場から治療計画を立案させて頂いております。
次回もインプラント治療の長期安定性について書かせて頂きます。