インプラント治療の長期安定性について考える④

7、おたくの歯科ではインプラント1本幾ら?という電話による問い合わせについて

このご質問も毎日の様に当診療所にお問い合わせがあります質問の一つです。
電話でのみお問い合わせの場合は、受付スタッフには「お口の中を見せて頂けておりませんので、お答え出来ません。」という指示を出させて頂いております。

ご来院無しで診査診断をさせて頂けない状況でインプラント治療費用を算出することが困難なのです。
例えば小売であれば、もちろんお答えしております。

どの様なお口の状態でインプラントが何本必要なのか?
現状の把握をさせて頂けない状態で詰められると私もスタッフも疲弊してしまいます。
他院さんと比較している方も多く、言い方は色々あると思いますが「値段ありきの方」は、正直困惑します。使用する材料や長期的な安定は全て込みで治療費用の提示は出来ません。

例えば、家を建てる際にまず設計計画は大凡かもしれませんが、煮詰めていく事で壁紙やドアの取手や床の素材などを細かく決めていきます。
その様なお打ち合わせを行うこと無しでは、トラブルにつながる可能性があるからです。
トラブルと言ってもお口の中のトラブルではありません。時代の流れなのでしょうか?

ここでは、「言った」、「言わない」などの人の伝え方、捉え方によるトラブルを指します。

インプラント治療が必要と考えられます、歯を失った場所(以下、欠損部)に対してインプラント治療を計画する際に必要な診査診断がされていない欠損部に対して、骨造成や即時荷重処理など追加項目が必要な状況なのか?実は、全く追加項目が必要では無い場合の費用に差があります。しかしながら消費者とは、ザックリで算出した費用に対して、安価になることは素直に受け入れられるに対して、追加による価格の上昇に対しては嫌悪感を抱くことは、このブログをお読みの方でもご経験はあると思います。

例えば、200万円の車を購入しようとした時にご自身の満足がオプション無しの状態で満足する方とは違い、オプションを追加して自分好みの車に仕上げるという購入の仕方がありますよね?それは、より快適に?よりスタイリッシュ?よりスパルタンに?など大変に楽しい選択であると思います。
なぜ、車を引き合いに例をお出ししたか?と言いますと、少し高額のお見積もりの場合は、車と比較される方が圧倒的に多いからです。

しかし、インプラントの場合は“車”とは全く違います。

欠損部の条件が違いますので、ベースの費用だけではインプラント治療の上位権を満たすことが出来ず、その結果として「咬めるという条件を満たす」、「長期安定性の獲得」、「治療自体を早期に終了させる」などご希望する内容は様々なのです。

ですから、電話だけの対応ではその費用の全てをお話する事が出来ないのです。
私達は、その方のご希望された理想に近づける為により良いご提案をさせて頂きます。

その他には、
「○○歯科は、これくらい値引きしてくれたけど、おたくは?」
「でっ!先生さー、ここから幾ら引くの?」
「全部で幾らって無いの?」

この様な???を多く経験しております谷口歯科診療所としまして、スタッフと導いた結論が御座います。

「(なるべく安価に)費用を重視している方」、一方で「治療結果、快適性、長期安定性を重視している方」に二分する事が浮き彫りになりました。

インプラント手術において患者さんのお口の条件に対して難易度が高いのか?低いのか?
は、ご理解いただく必要があります。

全て一律に同じ条件では無い事をご理解頂いた上で快適に食事出来る状態を手に入れる事をお勧め致します。

8、何故?インプラント治療費用は、各歯科診療所によって費用に違いがあるの?

この質問は、一つ前と一部被る内容となりますが、費用に違いに関しまして書かせて頂きます。

・まず始めに使用しているインプラントシステムに違いがあります。

インプラントメーカーは日本国内で販売されている有名なメーカー、無名なメーカーを合わせると何種類なのか?は不明です。実際にインプラントのセカンドオピニオンにて既にインプラントが埋入されている場合インプラントメーカーの特定に苦労する事が多いのです。
因みに谷口歯科当診療所では、インプラント埋入手術後には埋入致しましたインプラント体のメーカー発行のロットナンバー証明書を術後注意書と一緒にお渡ししております。
以前書かせて頂きました、インプラントメーカーのブランド力によってもそれぞれ仕入れ値が大きく違います。
改めて書かせて頂きますが、「有名メーカーを採用している」=「安心安全なインプラント治療」ではありません。

・どのくらいの技術力のある歯科医師が基準なのか?が、明確では無い点があります。

例えば、最近インプラント治療を始めたばかりの先生が基準だとすると、その費用設定は低く設定されている可能性があります。それは、インプラントを手術する条件が比較的に良い場合が対象となりますので、追加の処置が無いと考えられます。

他院ではインプラントが困難であると判断された患者さんの場合、骨が足りなかったり、歯ぐきが足りなかった場合があります。いわゆる難易度が高く、インプラントを手術する条件が悪い場合は、インプラント専門医ライセンスに裏付けられた経験、緻密な診査診断、特殊な器具の使用、特殊手術方法の研鑽、手術室の有無、医療用空気清浄機による無菌室化、滅菌レベルの違いなどが加わってきますので費用に違いが出ていると思われます。

・歯科診療所がインプラント治療を始める場合の初期投資の回収を考慮している場合があります。

インプラント治療を始めるには、高額な初期投資費用があります。
まず、インプラントベーシック講習会費用、アドバンス講習会費用(これはベーシック講習会受講後に必要と感じた場合)、CTスキャンX線装置、インプラントを埋める為の機械、インプラント外科手術器具、外科手術器具、インプラント自体の在庫、他の患者さんのアポイント調整、インプラントの型取り器具、コンピュターガイドを採用する場合はコンピューターソフト費用と保守費用、手術室への改装(必要な場合)、医療用空気清浄機、光機能処理装置などまだまだ書ききれません。
正直、このブログを書いている私が驚くほどあります。インプラント24年経験をして徐々にではありますが、揃えてきました。やはり、国内でのセミナー費用がかなりのウエイトがあります。その他にアメリカ、韓国、台湾にプチ手術留学とその時間と旅費なども合わせると、身に付けた資本の裏付けが難易度の高い術式で難症例に対応できるのは間違いありません。専門医ライセンス取得、大学院研究、論文作成、学会などでの講演なども合わせると今まで幾ら投資したのか?は不明です。
これらを最短で回収する事を考えると初心者の歯科医師でも費用は高く設定されている可能は否定出来ません。

JSOI日本口腔インプラント学会専門医
IPOI近未来オステオインプラント学会専門医、認定医
ICOI国際インプラント学会フェロー
日本顎咬合学会(咬み合わせ)本部理事・指導医、認定医、北海道支部支部長
北海道歯科医師会学術委員
北海道大学歯学院大学院生

科学的根拠と各種専門医ライセンスを取得し、維持している立場から治療計画を立案させて頂いております。
次回、インプラント治療の長期安定性 最終回を書かせて頂きます。