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【歯科医師が解説】インプラント治療で失敗・後悔しないための「セカンドオピニオン」の重要性〜診査・診断編〜

2026.07.10 ブログ

こんにちは。札幌駅前の赤れんがテラス6階にある谷口歯科診療所、4代目院長の谷口 昭博です。

近年、当院には「他の歯医者さんでインプラントを勧められたけれど、本当にこのまま進めていいのか不安」「抜歯してインプラントにするしかないと言われたが、本当に残せる方法はないのか」といった、インプラント治療に関するセカンドオピニオンを求めて来院される患者様が非常に増えています。この6年ほどで、その数は目に見えて増加傾向にあります。

高額な費用がかかり、外科手術を伴うインプラント治療だからこそ、迷いや不安が生じるのは当然のことです。当院では、インプラントのセカンドオピニオンを以下の4つのフェーズに分けて考えています。

  1. 診査・診断
  2. 治療技術
  3. 手術の仕方
  4. 手術後のメンテナンス

今回はその第1弾として、医療の成否を100%左右すると言っても過言ではない「診査・診断」について、当院の動画「第2話 インプラント専門医のセカンドオピニオン-診査・診断編-」の内容をもとに、専門的な視点から詳しく解説します。

なぜインプラント治療の前に「噛み合わせの診査」が必要なのか?

セカンドオピニオンで来院された患者様に「前の医院ではどのような診査を受けましたか?」とお聞きすると、驚くほど多くの方が「手鏡を持たされて口の中を見ながら説明を受けただけ」「レントゲンを1枚撮って終わった」とお答えになります。しかし、これだけではインプラントという精密医療を行うための情報としては決定的に不足しています。

インプラント、ブリッジ、入れ歯は全て「噛むための手段」に過ぎない

失った歯を補う方法として、インプラントは非常に優れた選択肢です。しかし、インプラントも、あるいはブリッジや入れ歯も、すべては「もう一度しっかりと噛めるようにするための道具・手段」に過ぎません。

私たちが本当に突き詰めなければならないのは、「なぜ、その歯を失うことになってしまったのか」という根本的な原因です [01:50]。この原因を無視して、ただ「歯がなくなった場所にインプラントを植える」という治療を行っても、原因が解決していなければ、新しく入れたインプラントもかつて失った天然歯とまったく同じ悲惨な運命(=過剰な負担で壊れる、または歯周病で抜ける)をたどるリスクが非常に高くなります。

上下の型取りによる「模型診断」が必須である理由

谷口歯科診療所では、インプラント治療やそのセカンドオピニオンを行う際、必ず上下の歯の型取りを行い、患者様固有の「お口の模型」を作製します。

患者様自身の口腔内を直接見るだけでは、奥歯の裏側の噛み合わせや、顎を動かしたときにどの歯に強いストレスがかかっているかといった立体的な動態(動き)を正確に把握することはできません。患者様のお口の中を完全に再現した模型を、専用の器械(咬合器)に装着して初めて、「全体のバランスを崩している本当の原因」や「インプラントをどの位置・どの角度に植えるべきか」という立体的な噛み合わせの診査・診断が可能になるのです。

レントゲン写真だけでは分からない!口腔内写真と骨の「厚み」の罠

多くの歯科医院で日常的に行われているレントゲン(X線)撮影。もちろん、解剖学的な指標を確認するためには絶対に必要なステップです。しかし、一般的な2次元のレントゲン写真だけを頼りにインプラントの診断を行うことには、プロの目から見て非常に大きな危険が潜んでいます。

2次元のX線から見落とされる「骨の厚み」と「解剖学的リスク」

レントゲン写真は影絵のようなものですから、骨の「高さ(縦の長さ)」はある程度分かりますが、骨の「厚み(幅)」を正確に捉えることはできません。

骨の高さが十分に足りているように見えても、実際に精査してみるとペラペラに薄く、そのままではインプラントを安全に埋入できないケースは多々あります。インプラント周囲の骨に十分な厚みがなければ、手術後に骨が吸収してインプラントが露出したり、最悪の場合は脱落したりする原因になります。

また、顎の骨の内部には、絶対に傷つけてはならない「重要な血管や神経」が走っています。これらを避けるための解剖学的な診査・診断が十分に行われていない治療計画は、患者様の身体を危険にさらすことと同義です。当院では、これらを見極めるために目視データとしてのお口の写真(口腔内写真)の撮影や、必要に応じた精密な診査を徹底しています。

歯科医師としての倫理:インプラントありきの診断を捨てる

私たちは、「インプラントを入れること」を目的に診査を行っているのではありません。

目的はあくまで「噛み合わせ全体の調和を取り戻し、健康を長持ちさせること」です。

診査の結果、インプラントではなく、ブリッジや入れ歯、あるいは矯正治療を組み合わせた方が患者様の将来にとってベストであると判断した場合は、その選択肢をストレートにご提案します。ツールに振り回されることなく、患者様の生体にとって何が最善かを見極めることこそが、正しい診査・診断のあり方です。

インプラントが折れる!?生活習慣や「ブラキシズム(食いしばり・歯ぎしり)」の隠れたリスク

インプラントはチタンやチタン合金で作られており、非常に頑丈なイメージがあるかもしれません。しかし、実は「インプラントそのものが折れてしまう」というトラブルは現実に存在します。そこには、レントゲンや模型だけでは見えない患者様の「生活習慣」や「無意識の癖」が深く関係しています。

集中時の食いしばり、スポーツ、趣味がインプラントに与える破壊的な力

当院に「インプラントが割れた(折れた)」という主訴でセカンドオピニオンに来院された患者様が過去にいらっしゃいました。原因を突き詰めていくと、日常のさまざまな場面で、インプラントの限界を超える圧倒的な「力(応力)」が加わっていたことが判明したのです。

例えば、以下のようなケースです:

  • 設計士の患者様:複雑な図面を引いたり設計を行ったりして集中している最中、無意識に猛烈な力で奥歯を食いしばっていた。
  • ゴルフが趣味の患者様:パターでの一打やショットで集中する瞬間、奥歯をギリギリと強烈に噛みしめる癖があった。
  • ウェイトリフティングが趣味の患者様:重いバーベルを持ち上げる際、一瞬お口全体に想像を絶する負荷がかかっていた。

このように、夜間の歯ぎしり(ブラキシズム)だけでなく、日中の仕事や趣味の集中時にかかる過剰な力が、インプラントを金属疲労に陥らせ、破折させてしまうのです。

3-2. 「折れたから植え替える」では再発する:破損を防ぐ力学的な設計

もし、インプラントが折れた原因を調べずに「折れたから抜いて、また新しいインプラントを植えましょう」とだけ言われたなら、その治療は非常に危険です。

力が集中して壊れたのであれば、次に折れないようにするために「噛み合わせの負担を分散させる設計」や、「力をコントロールするためのマウスピース(ナイトガード)の併用」など、力学的なアプローチを組み込んだ診査・診断・設計が絶対に必要になります。構造的な問題から目を背けないこと。これが、インプラントを生涯にわたって機能させるためのプロの設計思想です。

診査・診断に始まり、診査・診断に終わる。後戻りできない外科手術のリスクを避けるために

歯科治療、特にインプラントは、一度手術をして骨の中にフィクスチャー(人工歯根)を埋入してしまうと、後から「やっぱり位置を数ミリずらしたい」「角度を変えたい」と思っても、簡単にやり直すことはできません。

治療が始まってからでは「引き返せない」という現実

だからこそ、私は「歯科治療は診査・診断に始まり、診査・診断に終わる」という言葉を強く提唱しています。

十分な資料を集めず、事前のシミュレーションも不十分なまま「とりあえず手術を始めましょう」と進めてしまうと、途中で問題が発生した際、もはや引き返すことができなくなります。

万全な診査・診断があるからこそ、その後の「治療技術」「手術の術式」「術後のリカバリー」のすべてが初めて安全かつ円滑に機能するのです。

「100%」とは言い切れないが、患者様の想いに寄り添う診査の深さ

他の医院で「あなたの骨の状態ではインプラントは不可能です」と断られてしまい、絶望的な気持ちで当院のセカンドオピニオンを受けに来られる方もいらっしゃいます。

医療に「100%絶対大丈夫」と言い切ることはできません。しかし、当院において、インプラントを強く希望された患者様で「本当に何一つ、全く手が出せなかった」という方は、正直に申し上げてこれまでいらっしゃいません。

それは、骨を増やす高度な骨造成技術(サイナスリフトやGBRなど)があるからという理由だけではありません。それ以上に、「患者様の希望にどれだけ深く寄り添い、多角的な診査・診断から隠された可能性を見出せるか」という、診断の精度に徹底的にこだわっているからです。

私たちは小売業ではない。「インプラント1本いくらですか?」というお問合せにお答えできない理由

当院には、お電話で突然「そちらの医院はインプラント1本いくらでやってくれますか?」というお問い合わせをいただくことがあります。お気持ちは非常によく分かります。費用がいくらかかるかは、誰にとっても一番気になるポイントだからです。

しかし、大変心苦しいのですが、当院ではお口を一度も拝見していない段階で、お電話で「1本何円です」という明確な金額をお答えすることはいたしません

医療は既製品の販売ではない:生体という唯一無二の存在に向き合う

なぜなら、私たちはどこかから既製品を仕入れて横流しする「小売業」ではないからです。

患者様のお身体(生体)は、お1人お1人すべて異なります。

  • 顎の骨の質や量、厚みはどれくらいあるのか
  • 周囲の歯周病の進行具合はどう変化しているか
  • 噛み合わせのバランスや、先述した「食いしばり」の癖はあるかないか
  • 将来的に2度と同じ原因で悪くならないためには、どのような設計が必要か

これらの診査・診断を一切行わず、お顔も見ていない状態でお見積もりを出すことは、医療としてあまりにも不誠実であり、不可能だからです。

精密な診査・診断の後に、初めて誠実な「お見積もり」が成立する

当院では、上下の模型を作り、口腔内の環境、解剖学的リスク、生活習慣までを徹底的に把握した上で、「あなたのお口を根本から健康にするためには、このような材料と技術が必要になり、費用はこのようになります」という詳細なお見積もりを、明確な根拠と共にご提示します。

この「診査・診断」のプロセスこそが、インプラント治療において最も時間をかけ、最も慎重に行うべき最重要ステップであると私は確信しています。

まとめ:今のインプラント治療計画に、少しでも不安や疑問がある方へ

インプラントは、正しく機能すれば「第二の永久歯」として人生の質(QOL)を劇的に高めてくれる素晴らしい治療です。しかし、それには歯科医師側の徹底した「診査・診断」と、それに基づく誠実な対話が絶対条件となります。

もし、あなたが今受けているインプラントのカウンセリングにおいて、以下のような項目に1つでも引っかかるのであれば、一度立ち止まってセカンドオピニオンを受けることをお勧めします。

  • 担当医が、レントゲン以外の多角的な資料(お口の模型や写真など)を集めてくれない
  • 「なぜその歯が悪くなったのか」という原因や噛み合わせの話をしてくれない
  • デメリットや将来的なリスク、メンテナンスの話を濁される

谷口歯科診療所では、患者様が現状を正しく把握し、将来にわたって後悔しない選択ができるよう、セカンドオピニオンの外来を随時受け付けております。どうぞお気軽にご相談ください。

次回は、インプラントのセカンドオピニオンにおける「治療技術」のチェックポイントについてお話しさせていただきます。

谷口歯科診療所

院長:谷口 昭博

札幌市中央区北2条西4丁目1 札幌三井JPビルディング(赤れんがテラス)6階

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