こんにちは。札幌駅前の赤れんがテラス6階にある谷口歯科診療所、4代目院長の谷口昭博です。

お陰様で谷口歯科診療所は2026年8月11日に開設110周年を迎える事が出来ました。
日頃より大変お世話になっております関係各位の皆様に支えられ、ここまで来る事が出来ました。
この場をお借りしまして、深く感謝申し上げます。
今後とも谷口歯科診療所を宜しくお願い致します。
谷口歯科診療所
院長 谷口昭博
「自分には口臭があるのではないか」、「しっかり歯磨きをしているのに、口の臭いが気になる」といった悩みを抱え、歯科診療所や口臭外来を訪れる患者様は少なくありません。口臭はデリケートな問題であり、周囲に相談しづらいため、一人で抱え込んでしまいがちです。
しかし、ひとくちに「口臭」と言っても、実はその発生原因やメカニズムによって大きく3つの種類(ジャンル)に分類することができます。
今回は、長年口臭治療に携わってきた歯科医師の視点から、YouTube動画『えっ⁉️口臭の種類は3つしか無い❗️』の内容をベースに、口臭の真の分類、個人差が生まれる理由、そして歯科医院で行う専門的な解決法について詳しく解説します。
見出し
口臭の悩みを抱える方へ|なぜ「口臭」は分かりにくいのか?

口臭の定義が曖昧になりがちな理由
「口臭」という言葉は、文字通り「お口から出る嫌な臭い全般」を指して使われています。しかし、臨床の現場では「どのような臭いが、どこから、なぜ発生しているのか?」を明確に整理しないまま悩まれている患者様が非常に多くいらっしゃいます。
例えば、食べたものの匂い、タバコやコーヒーなどの嗜好品の匂い、お口の病気による臭い、内科的な疾患による臭いは、本来すべて原因も対策も異なります。これらがすべて「口臭」という一言でまとめられてしまうことが、悩みを複雑にしている大きな要因です。
「自分の臭いは自分で気づきにくい!」という感覚の落とし穴
人間には「嗅覚疲労(嗅覚の順応)」という機能があります。常に触れている自分自身の匂いに対しては鼻が慣れてしまい、自分の口臭には気づきにくいという性質があります。
その一方で、「周囲の人が鼻をすすった」、「会話中に距離を取られた気がする」といった他人の仕草をきっかけに、「自分の息が臭うのではないか」と過剰に不安を感じてしまうケースも少なくありません。正確な知識を持ち、適切な検査を受けることが、不安解消への第一歩となります。
歯科医師が解説!口臭の大きな「3つの種類」とは?
口臭外来や臨床現場において、口臭は主に以下の3つの種類に分類されます。それぞれの特徴と原因を理解することが、正しい対策への近道です。
【口臭の3大分類】
1. 体質・メカニズムに起因する口臭(生理的口臭・代謝性)
2. 病的口臭(口腔内疾患・全身疾患)
3. 外因性口臭(食物・飲料・嗜好品)
① 体質・消化吸収のメカニズムに起因する口臭(生理的口臭)
生理的口臭とは何か?
生理的口臭とは、特別な病気がなくても、誰にでも発生する可能性のある口臭です。朝起きたとき(起床時口臭)、お腹が空いたとき(飢餓時口臭)、緊張したとき(緊張時口臭)などに強くなる傾向があります。
これらは唾液の分泌量が減少することで、お口の中の細菌が繁殖し、揮発性硫黄化合物(VSC:硫化水素やメチルメルカプタンなど)と呼ばれるガスを作り出すために起こります。
「食べたものと発生するガス」の個人差(修学旅行の例え)
同じものを食べたり飲んだりしていても、強い口臭が発生する人と全く発生しない人がいます。

動画内でも例えています様に、修学旅行で同じ部屋に泊まり、全く同じ食事をとっていたとしても、「おならや体臭が臭くなりやすい人」と「そうでない人」に分かれますよね?
これは、一人ひとりの「腸内環境」、「代謝能力」、「消化酵素の働き」が異なるためです。「何を摂取したときに、どのようなガス(臭い)を発生させるか」という代謝の仕組みには大きな個人差が存在します。
体質的口臭の究極的なアプローチと現実
もし、この「食事とガスの発生メカニズム」を完璧に解明しようとするならば、すべての食材に対して「何を食べたらどのようなガスが出るか」を調べる臨床検査や検査入院が必要になってしまいます。
しかし、これは現実的ではありません。臨床においては、過剰に体質を気にするのではなく、生活習慣の改善やお口の中の細菌バランス(マイクロバイオーム)を整えるアプローチが主体となります。
② 病的口臭(お口の中の病気・全身の病気)
歯科領域の病的口臭(歯周病・虫歯・舌苔)
病的口臭の約80%〜90%は、お口の中に原因があります。代表的な原因は以下の通りです。
- 歯周病(歯槽膿漏): 歯周病菌が発するメチルメルカプタンなどのガスは、腐った玉ねぎや血のような強烈な臭いを放ちます。
- 進行した虫歯: 虫歯によって歯の神経が腐敗したり、大きな穴に食べかすが溜まって発酵することで臭いが発生します。
- 舌苔(ぜったい): 舌の表面に付着した白や黄色のコケ状の汚れです。細菌やタンパク質の塊であり、生理的・病的口臭の大きな原因となります。
- 適合の悪い不適合補綴物(被せ物・義歯): 隙間に汚れが溜まりやすく、日常のブラッシングでは取り除けない臭いの発生源となります。
医科領域の病的口臭(全身疾患・消化器系)
残りのおよそ10%は、お口以外の体に原因がある「全身疾患由来の口臭」です。
- 耳鼻咽喉科系: 副鼻腔炎(蓄膿症)、咽頭炎、扁桃炎など
- 消化器系: 逆流性食道炎、胃潰瘍など
- 呼吸器系・代謝系: 糖尿病(アセトン臭)、肝疾患(アンモニア臭)、腎不全など
ただし、胃の不調などで激しい痛みや吐き気がある場合、患者様はまず内科や胃腸科を受診されるため、「お口の悩み」として歯科の口臭外来に来院されるケースは稀です。
③ 飲食・嗜好品による「外因性口臭」
ニンニク・アルコール・コーヒーの口臭メカニズム
食品そのものの臭いが息として排出される口臭です。 例えば、ニンニクに含まれる「アリシン」という成分は、消化・吸収された後に血液に乗って全身を巡り、最終的に肺から呼気(吐く息)として排出されます。そのため、歯磨きやお口のすすぎだけでは完全消臭できません。
また、コーヒーには微小な粒子が舌の表面に付着しやすいという特徴があり、さらにコーヒーに含まれるカフェインの利尿作用によってお口が乾燥し、口臭を増幅させることがあります。
海外のビジネスシーンにおける「カフェブレス(Coffee Breath)」のエピソード
動画の中では、シアトル(大手コーヒーチェーンの発祥地)の一流企業に勤務する患者様のエピソードを紹介。

コーヒーを飲んだ後に上司から「Cafe Breath(コーヒーの息)」と指摘されたという事例です。これは単に「息が臭い」という意味にとどまらず、「ビジネスのフロアにおいて、そのような匂いを漂わせたまま業務を行うのはプロフェッショナルとして望ましくない」というマナー面での指摘でした。
このように、体質や病気による口臭ではなく、「直前に摂取したもの」による臭いも口臭の分類に含まれます。
タバコ(喫煙)が口臭治療を複雑にする理由
タバコ(ニコチン・タール)の臭いは非常に強力で、衣類や髪の毛、そしてお口の粘膜に深く付着します。さらに、ニコチンの血管収縮作用によって歯茎の血流が悪くなり、唾液の分泌量も減少するため、歯周病を悪化させる最大のリス要因となります。
口臭外来において重度の喫煙者(ヘビースモーカー)の場合、タバコの臭い自体が本来調べるべき「口腔内由来のガス」を覆い隠してしまい、正確な測定や診断の妨げになります。そのため、治療の第一歩として節煙や禁煙をご提案することがあります。
なぜ「市販の対策グッズ」だけでは口臭が治らないのか?
洗口液(マウスウォッシュ)やタブレットの限界

薬局やコンビニで購入できるマウスウォッシュ、口臭予防タブレット、清涼ミント製品などは、手軽に利用できるメリットがあります。
しかし、これらの多くは「マスキング効果(別の香りで元の臭いを一時的に覆い隠すこと)」に過ぎません。根本原因である「歯周病菌の繁殖」、「舌苔の蓄積」、「唾液不足」などが解決していない場合、効果が切れるとすぐに元の口臭に戻ってしまいます。
逆効果になり得る「過剰な歯磨き」と「舌の磨きすぎ」
「口臭を消したい」という焦りから、強い力で歯磨きをしたり、硬いブラシで舌を力いっぱいゴシゴシ擦ったりする方がいらっしゃいます。
これは非常に危険です。舌の粘膜(舌乳頭)を傷つけると、傷口から細菌が進入したり、角質が剥がれ落ちて余計に舌苔が付着しやすくなったりして、かえって口臭を悪化させる原因となります。
歯科診療所・口臭外来で行う専門的なアプローチ
専門の歯科医院で行う口臭治療は、自己流のケアとは異なり、原因を特定した上で根本からアプローチします。
【歯科診療所での口臭アプローチの流れ】
1. 精密検査(問診・口腔内診察・ガスクロマトグラフィー等)
2. 原因の特定(3つの分類のどこに該当するか)
3. 歯科的治療(歯周病治療・プロによるクリーニング PMTC)
4. 生活習慣・セルフケアの個別指導
① 口臭測定器を用いた客観的な原因特定
口臭の改善には、まず「本当に口臭が存在するのか」「どのようなガスが出ているのか」を数値化・可視化することが重要です。

- ガスクロマトグラフィー検査: 息に含まれるガスを「硫化水素(生理的口臭に多い)」「メチルメルカプタン(歯周病由来に多い)」「ジメチルスルフィド(全身疾患・有機物由来)」などに分離し、ppbという微小単位で測定します。
- オーラルクロマなどの口臭測定器: 臭いの強度を客観的に把握し、治療前後の変化をモニタリングします。
② プロによるお口のクリーニング(PMTC・歯石除去)
お口の中に存在するバイオフィルム(細菌の膜)や歯石は、日常のブラッシングだけでは除去できません。
歯科衛生士による専用器具を用いたクリーニング(PMTC)によって、歯周病菌の巣窟となる汚れを徹底的に除去し、お口の細菌バランスを整えます。
③ 正しい舌ケアと唾液腺マッサージの指導
- 正しい舌ケア: 舌ブラシを使用し、奥から手前へ優しく撫でるように汚れを落とす正しい方法を指導します。
- 唾液分泌の促進: 唾液には抗菌作用、自浄作用、粘膜保護作用があります。唾液腺マッサージや噛み応えのある食事の提案など、唾液を増やしてお口の乾燥(ドライマウス)を防ぐ指導を行います。
自宅でできる!今日から始める正しい口臭予防セルフケア
日常生活の中で口臭を予防・軽減するためには、以下の基本習慣を意識することが効果的です。
1. 丁寧なフロス・間歯ブラシの習慣化
歯ブラシだけでの歯垢除去率は約60%と言われています。デンタルフロスや歯間ブラシを併用することで、除去率を80%以上に引き上げ、歯間の臭い物質の発生を抑制します。
2. 水分補給でお口の乾燥を防ぐ
お口が乾燥すると細菌が増殖します。こまめに水や白湯を飲み、お口の中を潤すことを心がけましょう(緑茶やコーヒーは利尿作用があるため、水での補給がおすすめです)。
3. よく噛んで食べ、唾液を出す
一口30回を目安によく噛んで食べることで、唾液の分泌が促されます。また、朝食をしっかり食べることは、寝ている間に増えた細菌を洗い流し、腸の動きを活発にするため生理的口臭の予防に有効です。
まとめ|口臭の悩みを解消するために
口臭は、決して恥ずかしいことではありません。人間である以上、生理的な臭いが発生するのはごく自然なことです。
重要なのは、ご自身の口臭が以下のどのタイプに該当するのかを正確に知ることです。
- 体質や生理現象によるもの(過度に気にしすぎる必要はありません)
- 虫歯や歯周病などの病気によるもの(歯科医院での治療が必要です)
- 飲食やタバコなど外部因子によるもの(生活習慣の見直しで改善します)
「自分の口臭が気になる」、「市販のグッズでは改善しない」とお悩みの方は、自己判断で対策を続けて悪化させる前に、ぜひ一度当歯科診療所までご相談ください。専門の医療スタッフが客観的な検査を行い、お一人おひとりに合った最適な解決策をご提案いたします。

【当診療所のご案内】
- 診療科目: インプラント治療 / かみ合わせ治療 / 口臭治療 / 一般歯科 / 歯周病治療 / 予防歯科
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