こんにちは。札幌駅前の赤れんがテラス6階にある谷口歯科診療所、4代目院長の谷口 昭博です。

「毎日朝と晩、時間をかけて丁寧に歯を磨いているのに、なぜか虫歯になってしまう…」 「定期的に歯科医院に通ってクリーニングを受けているのに、歯周病が進行していると言われてしまった…」
このような疑問やお悩みをお持ちではありませんか?
実は、どれほど完璧に歯ブラシを当てていたとしても、お口そのものが持っている「口腔生理機能(こうくうせいりきのう)」や「唾液の力(お口の免疫力)」が低下していると、虫歯や歯周病、さらにはウイルス感染症などのリスクを防ぎきれないことがあります。
本記事では、札幌駅前・赤れんがテラス6階にある「谷口歯科診療所」の谷口昭博 自身による解説により、歯科医師の専門的な視点から「口腔生理機能の重要性」や「唾液の質・量を高めて真の健康を手に入れる方法」について分かりやすく徹底解説します。
見出し
なぜ「しっかり歯磨き」をしていても虫歯や歯周病になるのか?
「歯磨きが下手だからダメなのだろうか」「通院する間隔が空きすぎているから悪くなるのだろうか」と、ご自身を責めてしまう患者様は少なくありません。しかし、原因は単に「ブラッシング技術」や「通院頻度」だけではないのです。
毎日磨いていても病気を防げない理由
適切なブラッシングや、歯科診療所での定期検診・プロフェッショナルケア(PMTCなど)は予防の基本であり、非常に大切です。しかし、どれほど表面のプラーク(歯垢)を落としたとしても、私たちの口の中には常に数百種類・数千億個もの「常在菌」が存在しています。
これらの細菌が病原性を発揮し、虫歯や歯周病といったトラブルを引き起こすかどうかを左右するのは、歯ブラシの毛先が届く表面のケアだけではありません。お口の中の「環境を一定に保とうとする力(恒常性・生体防御機能)」が正常に働いているかどうかが、決定的な境目となります。
「お口の免疫力(口腔生理機能)」とは?
「口腔生理機能」とは、わかりやすく表現すると「お口の中を正常かつ健やかに保つために、身体が本来持っている総合的なシステム」のことです。
具体的には以下のような重要な役割を担っています。
- お口の中の細菌が異常増殖しないように抑制する
- 飲食によって酸性に傾いた口内環境を中性に戻す
- 歯の表面や粘膜を保護し、微細な傷や脱灰の修復を助ける
お口の免疫力(口腔生理機能)が高い状態を維持できていれば、虫歯菌や歯周病菌の活動を抑えられるだけでなく、インフルエンザや新型コロナウイルスをはじめとする外来性の感染症に対しても、強固なバリアを構築することにつながります。
お口の健康を守る最大の鍵「唾液の性能」と「唾液検査」
口腔生理機能の主役であり、お口の免疫力を担保しているのが、私たちが日常的に無意識に分泌している「唾液(だえき)」です。
唾液が担う5つの多角的な防衛作用
唾液は単にお口を湿らせたり、食べ物を飲みやすくしたりするだけの液体ではありません。専門的に見ると、唾液には極めて高度で多角的な生体防御機能が備わっています。
- 自浄(洗浄)作用: 食べかすや浮遊している細菌を物理的に洗い流し、組織への付着を防ぐ。
- 抗菌・免疫作用: 唾液に含まれるIgA(免疫グロブリンA)やリゾチーム、ペルオキシダーゼ、ラクトフェリンといった成分が、細菌やウイルスの増殖を直接攻撃・抑制する。
- 緩衝(かんしょう)作用: 飲食によって酸性に傾いたお口の中のpHを、すばやく安全な「中性」へと戻し、酸によって歯が溶ける(脱灰)を防ぐ。
- 再石灰化作用: 唾液中に溶けているカルシウムやリンが、初期虫歯(溶けかけた歯の表面)に再び取り込まれ、歯を修復・強化する。
- 粘膜保護作用: 唾液のネバネバ成分である「ムチン」が、お口の中の粘膜全体を覆い、摩耗や刺激、乾燥から組織を守る。
このように、唾液はまさにお口の中で24時間365日働き続けている「天然のバリア(防衛液)」なのです。
唾液検査でわかる「あなたの唾液の質と量」
同じように生活し、同じように歯を磨いていても虫歯になりやすい人とそうでない人がいるのは、食生活も関係はありますが、この「唾液の性能(質と量)」に個人差があるからです。
歯科医院で行われる「唾液検査」では、患者様から採取したわずかな唾液を用いて、以下のような指標を数値化・可視化します。
- 安静時唾液量・刺激時唾液量: 何もしない状態で出ている唾液の量と、噛む刺激を与えたときに出る唾液の量。
- 緩衝能(中和力): 酸性に傾いた環境を中性に戻す力の強さ。試験紙などの色調変化(紫~黄色など)によって一目で判定できます。
- 虫歯菌・歯周病菌の数量: お口の中に潜む病原菌のリスクレベル。
例えば、検査結果で緩衝能が高く(紫色の良好な判定)、唾液量も豊富であれば、お口の防衛体力は非常に高いと言えます。一方で、緩衝能が低い(黄色の判定)場合や唾液量が極端に少ない場合は、どれほど磨いていても虫歯や歯周病、感染症にかかるリスクが高くなってしまいます。

口腔生理機能を低下させる「食生活」と「糖質」の落とし穴
「なぜ唾液の質や量が低下し、お口の免疫力が落ちてしまうのか?」 その背景には、現代人が陥りがちな日頃の食生活やライフスタイルが深く関わっています。
ジュースやお菓子のダラダラ食いが与える悪影響
幼少期に「お菓子ばかり食べているとご飯が食べられなくなるよ」「ジュースばかり飲んではいけません」と叱られた経験は誰にでもあるのではないでしょうか。子供の頃は「お腹がいっぱいになれば何を食べても同じじゃないの?」と思いがちですが、これには明確な医学的・生理学的理由が存在します。
お菓子や清涼飲料水などを頻繁に口にする「ダラダラ食い」を続けていると、お口の中が常に酸性の状態に晒されます。すると、唾液の緩衝能(中和する力)が限界を迎えて疲弊し、唾液本来の抗菌・保護性能そのものが著しく低下してしまうのです。
現代人が知らずに陥る「糖質過多」の食事パターン
「自分はお菓子やジュースはほとんど摂らないから大丈夫」と安心している大人の方も、注意が必要です。
日常の食事を振り返ってみてください。
- うどん、ラーメン、パスタなどの「麺類」
- 牛丼やカツ丼などの「丼もの」
- ファストフードのパンやスナック類
手軽で美味しいこれらの食事は、どうしても「糖質(炭水化物)」に偏りがちになります。偏った糖質過多の食事は、全身の代謝バランスや自律神経系を乱す要因となり、結果的にお口の中の「環境を一定に保つ力(恒常性)」を削ぎ落とし、唾液腺の機能低下を引き起こしてしまいます。
また、後述するように、柔らかい糖質中心の食事は「ほとんど咀嚼せずに飲み込めてしまう」という大きな課題を抱えています。
免疫力を飛躍的にアップさせる「咀嚼(噛むこと)」の力と実践法
低下してしまった口腔生理機能を改善し、自分の唾液の性能を最大限に引き出すための「最短かつ最も確実な方法」——それこそが、日常の「咀嚼(噛むこと)」を見直すことです。

噛む刺激が唾液腺を活性化させる
唾液は勝手に無制限に湧き出てくるものではありません。噛むための筋肉(咬筋や側頭筋など)を動かし、お口の中のセンサー(歯根膜や口腔粘膜)に機械的な刺激が加わることで、脳の唾液分泌中枢へと信号が伝わり、耳下腺・顎下腺・舌下腺といった「大唾液腺」から勢いよく分泌されます。
しかし、現代の加工食品や柔らかいメニュー中心の食事では、ほとんど噛まなくても「のどごし」だけで喉を通ってしまいます。噛む回数が圧倒的に不足している現代人の生活こそが、唾液腺を休眠させ、お口の免疫力を低下させている元凶なのです。
今日から始める「30回咀嚼法」と3つの食事ルール
口腔生理機能を向上させ、病気に負けないお口をつくるために、本日の食事からすぐに実践できる「30回咀嚼法」の具体的なルールをご紹介します。
ルール1:一口の量を「いつもより少なめ」にする
スプーンや箸で一口に運ぶ量を、普段の2/3程度に減らします。口の中に食べ物を詰め込みすぎないことで、一口ごとにしっかりと味を感じ、丁寧に噛み砕く準備が整います。
ルール2:一口につき「必ず30回」噛む
食べ物を口に入れたら、意識してカウントしながら最低30回は噛みましょう。30回噛むことで食べ物が細かく粉砕され、唾液と十分に混ざり合います。
ルール3:水分で流し込まず「自分の唾液だけ」で飲み込む(嚥下する)
これが最も重要なポイントです。 食事中に口の中に食べ物がある状態でお茶や水、お味噌汁、スープなどを流し込んで飲み込む癖(流し込み食い)を絶対にやめましょう。
水分で流し込んでしまうと、唾液腺に刺激がいかず、唾液が分泌されないまま食べ物が胃に送られてしまいます。外からの液体に頼らず、「自分自身の筋肉を動かし、自前の唾液だけで食べ物を湿らせてかみ砕き、飲み込む(嚥下する)」というトレーニングを徹底してください。
まずは「1週間」、騙されたと思ってこのルールを実践してみてください。お口の中の潤い感、朝起きたときの粘つきの減少、そしてお口の環境の変化をはっきりと実感できるはずです。
【一石二鳥の副産物】咀嚼回数を増やすと理想的な「ダイエット」につながる
しっかり噛む習慣を身につけることは、お口の予防(虫歯・歯周病・ウイルス対策)に留まらず、全身の健康増進や理想的なプロポーション維持においても絶大な効果をもたらします。
満腹中枢が刺激され、過食を自然に防ぐ
早食いの習慣がある人は、食べた刺激が脳の「満腹中枢」に伝わり、「お腹がいっぱいになった」と認知する前に、必要以上のカロリーを胃に放り込んでしまいます。
一口30回以上かけてしっかり噛み、自分の唾液を使ってゆっくりと食事を進めると、食事の途中で自然と満腹中枢が刺激されます。その結果、無理にガマンすることなく、身体にとって本当に必要な「適量」の食事で高い満足感を得られるようになります。
歯科医師が提案する「健康的な体重管理」
食事内容そのものを過剰に制限しなくても、咀嚼回数を増やし、自前の唾液を活用して食べる習慣を1週間続けるだけで、多くの方が自然と適切な食事量へと収束し、すっきりと体重管理ができるようになります。
まさに、お口の免疫力を高めるアプローチが、全身の代謝改善やダイエットにも直結しているのです。
※なお、この「しっかり噛む」という基本動作を成立させるためには、前提として噛み合わせが正しく整った「ご自身の歯」、あるいは精密に適合した「義歯(入れ歯)」や「インプラント」が口腔内に存在していることが不可欠です。噛めない歯や痛みのある部位を放置している方は、まずその治療を行うことが健康への第一歩となります。
まとめ:お口の生理機能を高め、ウイルスや病気に負けない身体をつくろう
今回の解説の要点を改めて整理します。
- 丁寧な歯磨きだけでなく「口腔生理機能(お口の免疫力)」を高めることが予防の本質。
- 「唾液」には抗菌・自浄・酸の中和・再石灰化など、多角的な生体防御機能がある。
- ダラダラ食いや糖質過多の食事は、唾液の質を低下させ、お口の環境を悪化させる。
- 「一口30回噛む」「水分で流し込まず自分の唾液だけで飲み込む」ことで唾液腺が活性化する。
- しっかり噛む習慣は、虫歯・歯周病・感染症予防だけでなく、自然なダイエット効果ももたらす。
毎日当たり前に行っている「食べる」「噛む」という動作を少し意識し直し、ご自身の唾液の力をフルに活用するだけで、お口の中の環境、ひいては全身の健康状態は大きく向上していきます。
「自分の唾液のリスクレベル(質や量)を知りたい」 「しっかり噛めるように、歯並びや噛み合わせ、入れ歯をしっかり調整したい」
とお考えの方は、ぜひ一度、札幌駅前の谷口歯科診療所までお気軽にご相談ください。お口のプロフェッショナルとして、皆様の健康な毎日を全力でサポートいたします。
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- 医院名: 谷口歯科診療所
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